第二十三章
「鈎十字の
悪夢」

(記:ミサイル研究所さん)

ここでいったん時代をセワシのいる時代へ戻させてもらおう。


「では、さらばだ。」

そう言うと男はセワシの頭に向けたマシンガンのトリガーに指をかけた。

カチャリ

「最後に俺の質問に答えてくれ。」

セワシは唐突に言い放った。

「ほう、抗命とはね。だがいいだろう、答えてあげるよ。」

男は笑いながらセワシにその答えを返す。

「なぜ、なぜおまえはそんなに戦争にこだわるんだ。」

これはセワシが吸血鬼研究のことを聞いたときに抱いた疑問だったのだろう。

戦争にこだわらなければ吸血鬼の研究をしたところで被害はない。

しかし、戦争にこだわれば人をたくさん殺すこととなる。

そのせいでアルティメットシイングまで生まれてしまった。

「ふふ、僕はねえ戦争が大好きなんだよ。

どんなことよりもね。塹壕戦や市街戦とにかく戦争行動が好きだ。

そうすればどうだい?

吸血鬼や『アルティメットシイング』なんてまさに戦争にぴったりじゃないか。

人を軽々と紙のように切り裂き、ふつうの兵器を使ったぐらいじゃびくともしない。

しかも吸血鬼にはその駿足性もある。

だが、苦手な物が多すぎる。たしかDIOとか言う絶大な力を持つ吸血鬼もいると聞いたが、

所詮は弱点を一つも克服していないのでダメだ。

これでは戦争が夜しかできなくなってしまう。

だが、アルティメットシイングはどうだ?

まさに戦争向きではないか。弱点もなく、強力な力を持っている。

まさに理想の生物ではないか。

しかしね、コイツは凶暴すぎるんだね。

これじゃあ管理が出来ない。戦争で使ったところで意味はない。

しかし、これらを夜などに少数でいいから突撃させてみたらどうだい?

楽しいではないか。戦争交響楽が聞こえてきそうではないか。

阿鼻叫喚の戦争交響楽が。

戦争はとにかく楽しい。

列車砲で街区画をレジスタンスほど吹き飛ばしたりするのや、

V2ロケットで空襲するのも楽しい。

しかし、やはり一番楽しいのは肉弾戦じゃあないか。

だから僕は戦争にこだわるんだよ。」

男は最後まで笑みを崩さずに、

いや笑いながら語り終えた。

「狂ってる、おまえは狂ってる。

おかしいよ!おかしいよ!

何で人を殺さなきゃいけないんだ!

人を殺すのが何で楽しいんだ!」

セワシは銃を向けられているのも忘れて大声で叫んだ。

「ふう、人がせっかく説明してあげたのに。君は理解力がないようだ。

まあ、いい。説明してももう無駄だろう。

さあ、さよならだ。」

男はそう言い終えると、トリガーを引いた。

ガガガガガガガガガ ガ ガン

弾は全てセワシの頭に直撃した。

「(俺死ぬのか・・・。ああドラえもん、おじいちゃん、ドラミちゃん、パパ、ママ、みんな。俺、未来を変えられなかった。

アルティメットシイングを止めれなかったよ。

ごめん、ごめん、ごめん……)」

ビチャッ  グシャッ

そして、セワシの体は自らが出した赤い水たまりへと落ちていった。

「ふふふ、所詮こんな物なのか。

さあ、諸君。研究を再開しよう。」

男がそう言うと、廊下から何人もの白衣を着た人間が入ってきた。

「わかりました、少佐殿。

それはそうとこの死体はどうされますか?」

人間たちの中のメガネがいくつも重なっているようなメガネをかけた男が聞く。

「博士、邪魔だから焼いておけ。」

冷酷に男いやモンティナマックスは言い放った。

「わかりました、少佐殿。

誰かこの死体を焼却場へ持っていけ。」

博士と呼ばれた男の一言で、

セワシの遺体は焼却場へ運ばれていった。



1943年、独逸の地で野比セワシ永眠。

 

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