第三十九章
「フレイム・
オートライター」
(記:抹消さん)
「さてと、そろそろうごかにゃならんな。」
どこかの公園の軒下、雨に打たれてぬれまくった体を乾かすために潜んでいたセワシが頭を触り、体が完全に乾いたことを確認し、
町へと歩いていった。その町は、哲也を殺したアルティメットシイングが荒らしに荒らした誰もいない町だった。
セワシはとりあえず、腹が減ったのでまだつぶれきってない食料店に入る。その店の缶詰を主体に無人の店のかごに入れた。
「コレぐらいでいいかな、少し長旅になるかもしれないし。」
そして、廃墟の店を後にした。すると、後ろから声がする。この町にいる生き残りらしい。かなりご立腹のようだ。
「それは俺たちの食い物だ!!」
金属バットやハンドガンを持った4,5人の若者が声をかける。この町の少年ギャングらしい。
「少しぐらい分けてくれたっていいじゃないか!」
セワシがそう答えると、ハンドガンを持った若者が足元に銃弾を撃ってきた。
「もうい一度言う!打ち殺されたくなければそいつをおいてゆけ!!」
セワシはこの少年たちの行動に怒りを感じた。
「ふざけんな!こういうときこそ助け合いの精神が必要だろ!お前も未来に行ってみろ!」
「てめー頭大丈夫か?おい、やっちまえよ!」
リーダー格の若者が命令するや否や、セワシの頭に一筋の弾丸が飛び、それがど真ん中に命中し、頭から大量の血を噴出した。
「へ、わるくおもうなよ。」
若者たちがセワシを殺し、彼の手にあるかごをとろうとした。だが、一人の若者があることに気づく。
「あれ?こいつ左手にライターを持って自分の手を焼いてるぞ?ばっかで!!」
セワシの死体に一発わき腹にけりを入れ、かごを持って去ろうとした。だが、その彼らの後ろから、
ものすごいやき焦がれる煙と音がする。
「なんだよ、おい!!」
その炎は伝説にある火の鳥の形に燃えてゆく。そして、その炎の中から男が出てきた。その顔はまさしくセワシだった。
「バ、ばけもんだ!!」
セワシはにこっと笑い、ギャング団たちに話しかけた。
「それはどうも、とりあえずかごを返してくれるかな?」
「い、いやあああ」
男たちはセワシにまた弾丸を一発撃つ。今度もまた頭に当たったが、彼を取り巻く火がその傷をすぐに治していった。
「もういちどいうよ?そのかごを返してくれないか?」
化け物じみた回復力に驚き、昨日のアルティメットシイングを思い出したらしく、かごを置き、失禁するものを含めながら彼らは帰っていった。
「さすがに怖いよな、この能力は。」
セワシは、彼らが去ったことを確認し、路上にあった車の鍵穴にやきただれた民家の木についてある支えに使われた針金を
引き抜いたものを突っ込み、車のドアを開ける。
「さてと、それじゃあいくか。」
助手席にとってきた食べ物が入っているかごを置き、セワシは刑務所へと向かっていった。