一対一

〜スネ夫のタイマン〜

金麻呂さん

 遊ドラ高校、のび太たちはこの高校に通っている。

電車で一駅。その放課後である。

赤信号を平然と渡る2人の不良

キキーーーッと車のブレーキ音がする

運転手『死にてェーのか、バッ・・・・・』

クチャクチャ

ガムを噛みながらガンを飛ばして黙らせるのは

そう、『ドラえもんに休日を』に出てきたとなり町の不良2人組である

そしてその2人は駅に向かった

一方、のび太達グループは駅前の自販機で溜まっているようす。

しずか『エート、どれにしようかな』

自販機に金を入れた後にする、人類共通の行動である。

ピッ

じすか『あっ!!』

ジャイアン『オマエはチビだから、牛乳でも飲んでろ』

しずか『なっ、なにすんのよ〜〜〜』

自販機に牛乳とは珍しい。

しずか『別にチビじゃないわよっ』

ジャイアン『チ〜ビ チ〜ビ』

スネ夫『ガキンチョだ』

遠くから眺めるのはのび太である。貧弱ゥ貧弱ゥ

のび太『しずちゃん、すっかりあいつらと仲良くなっちゃって』

肩を落とすのび太

のび太『ハアーッ、あんな不良のどこがいいんだか』

トボトボと駅の便所に入っていくが、声が聞こえた

『電車賃がねーんだよ』

『貸してくれや兄ちゃん!』

『いつか返すからよ』

『・・・ひっ』

2人がかりで気の弱そうな青年をボコッているのは冒頭の2人組である

のび太『なにやってんだ、おまえら!!』

冷静にキレるのは昔から変わらないのである

『いやー、電車賃がたりなくてさー・・・・』

ドスッ!

のび太『カッ・・・ゴハッゴハッ』

しゃべり際の不意打ちである。きたない。

のび太『カハッゲホッゲハッ』

水月に入ったらしい。

『金貸してくれねェーかーーーーー!!なぁッ!!』

ゴッ!!

二発目が顔面にヒットする

ドッ

壁に向かって倒れていくかと思いきや、何者かによって支えられた

スネ夫『なんだのび太、またやってんのか。正義の味方だね〜』

のび太『スネ夫・・・・』

『スネ夫!?』

スネ夫『どいてな。悪者退治は俺がやってやっから。』

のび太は背中の後ろに隠し、前に出る

『遊ドラ高のスネ夫ってのはテメーか!』

黒川『俺は紅高の黒川、コイツは藤田だ!!』

藤田『ちったあ聞いた事あんだろ!俺ら2人相手にしよーってのか!』

スネ夫『知らねェよ、バカ!第一よ、二人くれーで俺様に勝てっと思ってんのか!!』

挑発、この上ない挑発。

藤田『なめやがって・・・・タイマンでやったろーじゃねーか!』

スネ夫『ほー、そいつは面白い!きなさい』

黒川『あんまり嘗めてんじゃねーぞ!藤田はボクシングやってたんだからな!』

スネ夫『ほー、ボクシング!!よしよし、きなさい、きなさい!』

藤田『・・・・』

藤田が左手を学ランのポケットに突っ込む

スネ夫『なんだ?なに、出すつもりだ?ボクシングって武器つかうのか?』

スネ夫はおちょくるのが大好きなのか。そうなのか。

バシッ!!

不意をついた一撃が、スネ夫の顔を捉えた

スネ夫『(くっ、これは!?)』

藤田『(ニヤ)』

スネ夫の目には何か液体が

ゴッ!

今度は藤田の右フックがスネ夫に一撃を与える

ダンッ

便所は狭いので後ろの壁に叩きつけられてしまう

スネ夫『んならァーーー!!』

バキャッ!!

 か い し ん の い ち げ き 

 し か し は ず れ て し ま っ た よ う だ

スネ夫の反撃の拳は、目が見えないため当たらない。後ろの壁に少しヒビを入れただけだった

藤田『・・・・!』

一瞬怯んだが、やはり余裕なのか気を取り直して殴りかかる

藤田『どこ狙ってんだよ!!』

ドカッ!

後は酷いものである

ドスッ!バキッ!

のび太『スネ夫・・・・』



ピロロロロロロ

しずか『ねー、スネ夫さんとのび太さん待たないのー?』

ジャイアン『バカ言ってんじゃねェ。何が悲しくて男を待ってなきゃなんねーんだ』

しずか『えー(・3・)』

ジャイアン『待ってたきゃかってに待ってろ』

デデーゴン、デデゴーン

電車に乗って、帰路につく。スネ夫の惨事を知らないで。


翌日


ジャイアン『ん?』

のび太『チッ・・・・』

ジャイアン『おんやあ、のび太く〜〜ん、まーた自分が弱いの忘れてケンカ売ってきたのか?』

のび太の頬の怪我を見て言った。一撃もらってしまっていたのである。

のび太『ざけんなよ!俺は別に弱かねーぞ!』

ジャイアン『ふーん、そのほっぺはどうしたの?』

のび太『・・・・・言っとくけどなぁ・・・これをやった奴はな、スネ夫に1対1で勝ったんだぞ!』

しずか『ハロー』

何も知らずにしずかも登校。


屋上


スネ夫が一人、空を眺めていた

ジャイアン『・・・・・』

スネ夫『・・・・・』

2人とも、目つきか鋭い。

心中が荒れているのだろうか。

スネ夫の顔は悔しさで満ちていた。

スネ夫『よォ・・・』

歩いてくるジャイアンに気づいたのか、スネ夫も声をかける

ジャイアン『ハアァァ〜〜〜〜』

溜め息が漏れる

のび太『!』

しずか『!』

のび太としずかは屋上に入るドアの手前で隠れて聞いていた

ジャイアン『だせーー。情けねェーーー。恥ずかしーーー。惨めじゃのう、スネ夫。』

スネ夫『・・・・・』

ジャイアンのため息に、スネ夫も申し訳なさそうな顔をする

バカッ

しずか『エイッ』

ジャイアン『わうっ』

しずかがジャイアンを蹴り飛ばす。

ジャイアン『何さらすんじゃわりゃ!』

しずか『スネ夫さんがかわいそうじゃないの!!』

ジャイアン『かわいそう?これが?ヘラヘラしちゃってよォ』

スネ夫『いやー、あはははは』

バカッ

ジャイアン『けりっ』

スネ夫『ぎゃん』

スネ夫の後頭部を蹴りつけた

スネ夫『(プチ)』

のび太『あ・・・(まずい)』

スネ夫『テメーーーッ!!』

パイプイスを持ってジャイアンを追い掛け回しはじめた

スネ夫『やろ〜!てめェー!ブッコロス!』

ジャイアン『ハア、ハア、なんてしつけーやろーだ』

スネ夫を巻いて、校舎裏に隠れた。

と、ジャイアンの後ろから竹刀を持った影が。

ジャイアン『オオ!?』

のび太『俺も行くぜ、ジャイアン』

ジャイアン『なんだてめー、タスキなんかかけやがって』

のび太『行くんだろ、スネ夫の復讐によぉ』

しずか『あたしも行く!』

ジャイアン『うわっ!』

草むらから現れたたら誰でも驚く。

ジャイアン『何言ってやがんだ、お前らみたいな小ガキ生は、家かえって牛乳でも飲んでろ』

ナデナデと、最上級の侮辱で2人を追い返す

安雄『剛田さん、奴らスネ夫さんやったって言い回ってるらしースよ!』

はる夫『しめに行きましょーぜ!』

隠れてるジャイアンにわらわらと集まって来るのは舎弟である

ジャイアン『・・・・・(俺は隠れてんだぞ)』

しずか『スネ夫さんは人望あるのね。武さんと違うわ。』

ジャイアン『ったく、もういい。ほっとけ。スネ夫にやらせりゃいいんだよ』

安雄『だってスネ夫さん、タイマンでやられたって・・・・』

ジャイアン『うるせーな、俺の知ったこっちゃねーよ』

振り返って、どこかに去って行った。

はる夫『つめてーな』

のび太『なんて奴だ!アホだバカだトンマだ!』

しずか『・・・・ふーん』

スネ夫『・・・・』

安雄『す、スネ夫くん・・・・』

背後にスネ夫が立っていて焦ったのは言うまでもない事である


紅羽高校


スネ夫『キョロキョロ』

たたたたたたた

ジャイアン『フン』

スネ夫の後ろを、ばれないようにストーキングするのはジャイアンである。

まあ途中まではしずかが見守っていたのだが、安心したのか家に帰っていった

紅羽高校 体育館裏

スネ夫『ほー、ホントに一人で来るたぁいい度胸だな』

藤田『何のつもりだ、こんな所に呼び出しやがって!舎弟にでもなりてーか』

スネ夫『俺が勝ってもてめーみてーな舎弟はいらんぞ。役にたたねぇ。』

藤田『こんのガキャァー!』

ガッ!

ブシュッ

藤田の拳が、スネ夫に当たる前に止めた。

すると拳から妙な液が飛んだ

スネ夫『てめーはいつもこんなもん持ち歩いて目潰し決めてんのか?』

藤田の拳にはライムがあった。相手に当たると汁が飛んで、目潰しになるというわけだ。

藤田『うぐっ』

コロコロ

ライムが藤田の手から落ちる

スネ夫『同じ手が二度通じると思ってるたぁめでてェ野朗だな!』

藤田『・・・・黒川ーーッ!!』

そう、黒川は林に隠れていて、ヤバそうになれば呼べという事らしい』

スネ夫『なんだそりゃ?タイマンじゃなかったのか。うれしーねェー。やっと一人じゃ敵わねェって分かったか』

藤田『・・・・・嘗めんなッ!!』

バキッ!

スネ夫『くっ・・・・』

藤田『てめェはマジでこの俺とサシで勝てると思ってんのか?思いしらせたろーじゃねーか!』

藤田が構えた

スネ夫『(コイツは確かに強ェー)』

ペッ

スネ夫の吐いた唾は闘いの開始を意味していた



ジャイアン『話になんねーじゃんよ!』

そこには伸びた紅高の不良がいた

黒川『へっ、てめェは俺達がいなきゃスネ夫が勝つと思ってんのか?

てめェーはスネ夫より強いらしいが藤田はこの俺より強いんだぜ。つまりよ、てめぇがこの俺様に勝てなきゃ

スネ夫が藤田に勝てるわきゃねーんだよ』

ジャイアン『ややこしい事ブツブツこいてんじゃねーよ気色悪いな』

黒川『ッチ』

パチン

ナイフを取り出す

ジャイアン『んなモンどうする気だ?』

ヒュウンッ!

ジャイアン『わっ!』

一ミリ程度、顔に傷がついた

ジャイアン『(うお・・・コイツはマジだ)』

黒川『オラオラどうしたァ!』

ヒュンヒュン

ジャイアン『はわわ』

黒川『おまえが俺にとまどってんよーじゃ、スネ夫は今頃ボロゾーキンみてェーにやられてんぜ!』

かわしてかわしてかわすしか出来ないジャイアンは追い詰められる

かに見えた

ジャイアン『スネ夫は俺よか強ェーー!!』

ガシッ!

黒川『なっ!』

左手で黒川のナイフを止めた

ガンッ!

一瞬怯んだ黒川に、会心の一撃がヒットする

ジャイアン『だからテメェーらみてェーゴミにやられるわきゃねェーんだよ』

黒川『ヤロー、ぶっ殺してや・・・・』

ドガッ!!

スネ夫『ハア、ハア』

スネ夫の横には藤田が伸びている。どうやら勝ったようだ。

スネ夫『ハア、ハア、ハア』

フラフラになりながらも、帰っていく道には何故か紅高の不良共が伸びていた

スネ夫『!?(ジャイアン・・・)』

ジャイアン『ピュ〜』

暢気に口笛を吹いている

スネ夫『ニッ・・・・・・・ジャイアン』

ジャイアン『・・・・・』

スネ夫はボロボロであった

ジャイアン『ブハハハハハハ!変な顔ォ〜〜!なんだコイツは〜〜小学生の粘土細工だァ〜〜!』

笑い転げるジャイアンを見ているスネ夫は

性格のまがった親友を持ったスネ夫は



とても幸せそうだった

 

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