短編 出木杉 その後……
抹消さん
あれから何日たったのだろうか…
出来杉のその後…
空はまごうことなき晴天也、だって初夏だから。そんな晴天の光が今のオレにとっては苦しいもので昔のオレには
どのように見えたのだろう。
オレは自分を捨てた。なぜかってか?自分の立場が苦しくなったからだ。
自分で言うのもなんだがガキの頃からオレは人の数段上のステージにいるような人間だった。
だからオレには人一倍のプライドというものが心の中にずっしりと存在していたのだ。だから負けるはずのない人間に、
しかもオレよりもステージが低く、そして一般人よりもステージの低いあいつが、オレがガキの頃から目をつけておいた女を
とっちまった時のショックはオレの身をことごとく粉砕したのだ。
だから俺は自分を捨てた。
捨ててから何ヶ月がたつだろうか…そろそろ手持ちの金が無くなってきた。そして歩き続けた先に俺が見たものは
なんだったのだろう。そしてここはどこなのだろう。分からない…ただオレの体臭はどんどんくさくなっていき、顔にひげが
だんだん昔の顔とは思えないほど生えてくる。
ああ、オレはこれから死んでしまうのかな…いや、死ぬのだろう。ダンボールに身をくるむような男なのだから
長く生きることは出来ない。まして、最近のクソガキどもはダンボールに身をくるむヤツに暴行を働く。
そんなガキどもをオレは倒せる自信があるが、もういやだ、なにもかもがいやだ。
死んでしまうのなら俺は何かしておきたい。何がいいのか…そうだ、体が私に答えをくれている。腹が減ったと私の体から
音がした。しかし、金がない。
でも、俺は死ぬのならどうしても自分の願望をかなえて悔いなく終わりたい。豚箱にぶち込まれてもいい、
おれは強盗をしてでもめしにありついてやる。
この町はとっても静かな町。車のエンジン音とセミの鳴き声しか聞こえてこない。
この町はとっても静かな町。木製の一戸建てと田園と侵略してきた都会の手先「ロー●ン」があるだけだ。
ここには飯屋がないのでオレは仕方なくコンビニを襲うことにしてみた。これで俺はしんじまうのかな?でもいいや、
悔いの残らない人生が演出できれば。
久しぶりのコンビニ、十日前ぐらいに生活用品と少量の食い物を買ったばっかりかな。
「いらっしゃいませ。」
女店員の声が店の中を響き渡らせる。これまた懐かしい声だが、私はこの人の声を悲鳴に変えると思うと罪悪感と
それを抑える暗示が脳裏をめぐる。
おれは悔いの残らない人生で終わりたい。
オレは決意し、店員の前でやってやろうと思った。そう、彼女を殺してやるのだ。どうやって殺そう、絞殺にしようか?
それだと時間が掛る。刺殺してやろうか?その前にオレが店の物を奪っているときに逃げられてしまう。
よく考えると幸い俺と店員しかこのばにいない。この際絞殺でいいや。
早速やるべく俺は油断させるために店の物を幾つかとって普通の客に成りすまして襲うことにした。
そして、運命の瞬間。
「こちらでよろしいでしょうか。」
なんだ?こいつの顔。不細工だ。
「どうしてあなたはそんなに不細工なのに生きているんですか?」
世間をどうでもいいと思っている俺にとっちゃこんな言葉は簡単に出るようなものだった。
その言葉が悪かったのだろう、彼女の右ストレートが私の顔面に当たってきた…
これがパパとママの出会いの話だよ。
結局そいつとオレは結婚した。あの右ストレートで俺は目が覚めたのだろう。
でも、
「うわ〜ん」
子供(15歳・女)にこんな話はだめだったかな
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