Nの悲劇2(リータンズ)
〜人生とは、無限の百苦タイマー〜

 

第8話 出木杉ん家の庭の惨劇 〜出木杉と静香くっつきすぎだろ〜

前回までのあらすじ

 ドラえもんは、あまりにもカンが良すぎるノンちゃんを「N4の一人なのでは?」と疑うものの、それは深読みに過ぎなかった。

ノンちゃんはN4ではなく、N4に狙われている『牧野つくし』足りうる存在だったのだ!

 牧野って誰? って思った人は、『花より男子』完全版を読もう! お得!(強制はしません)

そして、出木杉の家に現れた人形(?)は、がり勉を取り込んで……。

 

 

 トラえもんは、叫んだ。力の限り、何度も何度も。

トラえもん(以下トラ)「百パー、わいの方が目立っとるやないか! わいの方が主人公で、もうええでっしゃろ?」

 そんな戯言を遮るかのように、トラえもんの頭を思いっきり源静香が叩く。

源静香(以下静香)「トラえもんさん、勘違いしないで頂戴。 あなたが目立ってるんじゃなくて、ここがギャグパートなだけなんだから」

トラ「分かってるさかいに、姉ちゃん、あ、指揮官」

静香「誰が指揮官よ(汗」

 トラえもんと同じくかわいい服(男が着なければ)を着た少年は、答える。

タダシ「つまりな、静香ちゃんは本来なら『皆本』っていう指揮官の役なんだよ」

静香「何で、私までそんな低レベルのお遊戯会に参加しないといけないの(怒)」

トラ「まーまー、落ち着きなはれって、指揮官」

 そのやりとりを見て、たまりかねた出木杉英才は、聞こえるように言った。

 

出木杉英才(以下出木杉)「しずかちゃーん、今はギャグパートじゃないよ」

静香「あら、そうだったわね」

 そんな様子を見て、出木杉の母は心配そうな顔をした。

 

その人形は、普通の人形だった。 普通よりちょっと違う所というと、2つ。

 ひとつは、その人形の大きさが並外れて大きい所だった。
出木杉の辞書の中にある『人形』というカテゴリーには、人形の大きさは子供が扱える程度の大きさ、としか書かれていなかった。

 その人形は、人形と呼ぶにはあまりにも大きすぎた。 人形というよりは、小学一年生くらいの女の子である。

ふたつ、絶対に人形とは思えない点。 その人形は、口をはっきりと動かして喋っていた。

 

奈々ちゃん『みーんな、私のこども。 人はみんな、わたしのチルドレンなのです』

 

有り得ない、と出木杉は思った。 その人形は、カタカタと口の部分を震わせながら、きちんと喋っているのだ。

 あんなの、人形じゃない。 人形の形をした、別の何かだ。 じゃあ、その何かって――?

まず、出木杉の中には『怪物』という字が浮かんだ。 しかし、それをすぐに打ち消す。

科学を信じる自分にとって、そんなものの存在を認めるわけにはいかなかった。

 くっ、そんなの4月から再放送する怪物君じゃああるまいし、しかもアレはA先生だし――

じゃあ、もうひとつ考えられるとすれば――

 

『ロボット』。

 

静香「もう、小泉チルドレンだか小沢ガールズだとか知らないけど、帰ってくれない?
   今、何時だと思ってるの? 私、もうすぐ門限なんだけど。
    以前、門限過ぎて帰ってきた時、『そんな子はウチの子じゃありません』って言われた程、私の家の門限厳しいんだから」

タダシ「そんな、指揮官! がり……紫穂を見捨てろって言うのかよ!?」

トラ「そうやでー、あんな南極1号の亜種みたいな奴に、屈する必要なんかないと思うでー」

静香「さらっと、下ネタ言うの止めてくれない?(汗」

 出木杉は、この時『南極1号』というワードが頭に引っ掛かった。 それは、決して検索してはならない言葉だ。 特に、未成年は。

しかし、これは出木杉の海馬を震わせる、キーワードとなった。

 トラえもん、GJ。

 

出木杉「静香ちゃん、テストしたいことがあるんだ!」

タダシ「なんやと!? セクハラなテストやったらぼ……私が!」

出木杉「いや、そうじゃなくて……」

 即座に、静香はタダシの頭をはたいた。

静香「貴方がのび太さんだったら、今頃出木杉さんの家の庭は血の海よ。出木杉さんの家の敷地内だから、手加減してるようなものを」

 そう言うと、一昔前に流行ったキョンシーみたいなポーズをとっているがり勉を見た。

――突然、人形が喋りだした。

 

奈々ちゃん「ねえ宮野志保ちゃん、兄弟欲しいでしょ?」

 

静香「み、みやの?」

トラ「何、平然と灰原の本名言っとんねん! 」

タダシ「気をつけろよ、みんな! こっから、寒いギャグのオンパレードだぞ!」

 そういうと、二人はオーストラリアンフォーメーションのようなフォームを作った。

トラ「紫穂、あんさんは、必ずわいが目覚めさせたる!」

タダシ「大丈夫よ薫! それじゃあ、久しぶりに例の技……いい?」

 そう言うと、がり勉に向かって突進した。

タダシ「サイキックぅぅ……!」

 

 静香はそんな二人をよそに、そろそろと出木杉の家に入り、玄関側に回りこんだ。

静香「出木杉さん、なんかいい作戦が浮かんだの?」

 出木杉は、こくりと頷いた。

出木杉「まず、家から僕の言うものをとってきて欲しいんだ」

静香「何? 」

出木杉「台所の側の倉庫に、ガソリンが入ってるんだ。 それと、電話のところにマッチがある。
     それを、とってきてほしいんだ」

静香「出木杉さん、まさか爆発させる気? 出木杉さんとは思えない、とっぴな作戦ね」

出木杉「うん、でもただの脅しさ。 もし彼女が人形じゃないなら、何か反応をするはずだからね」

静香「反応って?」

出木杉「ロボットは、電気回路の集積物。 その電気回路をショートさせるには、どんなものが必要だと思う?」

静香「うーん……。 ショートさせるといえば……。 やっぱり、急激に電流を流すとか?」

出木杉「僕も、感電させることは考えたけど、それはちょっと危ないと思ってね」

静香「それじゃあ、引火させて燃やすのは、安全なの?」

出木杉「だから、あくまでただのおどしさ。 見たところ、彼女に話は通じ無さそうだし……。
     もし、自分が燃やされると知ったら、どうするか反応を見たくてね」

静香「でも、もし構わずに突っ込んできたらどうするの? 」

 出木杉は、首を少し回した

出木杉「その時までには、警察が来る事を願おう」

静香「あら、しっかり呼ぶつもりなのね……(汗」

 その時だった。

 

?「おーい、しずかちゃーん、いるか?」

 

 その声は――

静香と出木杉は、一斉に振り向く。 出木杉家の門の外に、愚鈍チルドレンをはるかに凌駕する助っ人が現れた。

 大きな鼻。 若干出ている腹。 そして、なぜか右手には血のついた金属バット。 左手には、風呂敷に包まれた荷物。

剛田武こと、ジャイアンだった。

 

 出木杉は、すぐに門の扉を開けた。

剛田武(以下ジャイ)「何してるんだ、二人とも?」

出木杉「武くんこそ、なんでこんなところに?」

 ジャイアンは、ああと呟きながら風呂敷を持ち上げた。

ジャイ「これだよこれ。 静香ちゃん、お見舞いにケーキ作ってきてくれたじゃないか。
    その皿を返しにきたんだよ。 母ちゃんに言われて、だけどな」

 そう言うと、ぶっきらぼうにそれを静香に突き出した。

静香「そうじゃなくて――なんで、私の家じゃなくて、出木杉さんの家に来たのかって聞いてるの」

ジャイ「なんでって? だって、静香ちゃんのドアの前に、『源さんに御用がある方は、出木杉の家へ』って書いてあったからだよ」

 そういいながら、出木杉を見た。 出木杉は、なぜか顔を赤らめて別の方を見る。
その方向には、きれいに手入れされた出木杉家の植木が並んでいる。

 静香は黙ってその風呂敷の包みをあけると、ふうとため息をついた。

静香「なるほど?」

 それから出木杉を一瞥すると、また風呂敷のひもを結んだ。

静香「確かに受け取ったわ」

 重い沈黙を打ち破るかのように、出木杉はすぐにジャイアンのシャツを見ながら言った。

出木杉「た、武君! さっきから思ってたんだけど、なんで君の服はそんなに汚れてるんだい?」

ジャイ「ああ。 ちょっとな」

静香「バット。 それ、血でしょ? まさか、前のお返しとかに行ったんじゃないでしょうね」

 ジャイアンは、どきりとした顔をして、静香を見た。

ジャイ「すげーな静香ちゃん。 そう、さっき思いっきりぶん殴ってきてやったんだよ。
    俺をボコボコにした、あの高校生共をな」

出木杉「え? アレって、君がけしかけたんじゃないの?」

ジャイ「何言ってんだ? あいつら、この前何してたと思う? ジャイ子の『虹のビオレッタ』を、焚き火に使ってたんだぞ?
    そんな連中、ぶん殴るのが仁義ってもんだろ」

静香「仁義って……(汗」

 出木杉はジャイアンを宥める。

出木杉「武くん。確かにそんな光景を見たら、怒るのも無理ないよ。 けど、暴力はよくないよ。
     そう言うとき、僕ならこう言うな。

     『やめなよ。公園で、焚き火はよくないよ』って……」

静香「いや、それもどうかと思うけど……(汗」

ジャイ「よし、やる事はやったし、俺は帰るよ」

静香「ちょっと待って。 武さん、ちょっと歌ってから帰らない?」

出木杉「静香ちゃん、君まさか……(泣」

 静香はいたずらっぽく微笑むと、ジャイアンの腕を掴んだ。

静香「ね♪」

 

 

 

 その頃、さっきの場所から7メートルほど離れた場所で、タダシとトラえもんは超能力戦(?)を繰り広げていた。

タダシ「くらえ、サイキックゥゥゥ……最近、ジョイマン見ねぇぇぇ!」

トラ「うわっ、なんやそれ? ただのお前の最近の感想やん」

 そういうと、タダシはドラえもんから借りた(半ば奪った)ショックガンの引き金を引いた。

タダシ「ダメや、これも使えへん! 糞、ドラえもんの野郎、『黒い幽霊』に私達の身柄売りやがったな!?」

トラ「なんで薫も関西弁やねん!」

がり勉「くゃはあはああああ!」

 がり勉は奇声を発しながら、二人めがけて走り出した。

タダシ「落ち着けタダシ、スィッダウンぷりーず、がり勉!」

トラ「せやせや! 目を覚ますんや、がり勉! 感じるんや、愛の力を!」

 そう言いながら、二人はすぐに後方へ走り出した。

出木杉の母「ちょっ……。 わざわざこっちに逃げなくても……(泣」

トラ「アホかおかん! 逃げんといて、チルドレン守らな!」

出木杉の母「誰がいつ、あなたのお母さんになりましたか!(泣」

 その時、タダシはがり勉の動きが止まったのに気づいた。

タダシ「ちょっと待って! 動きが変よ、皆……」

 そういうと、くいっと眼鏡を直した。 ちなみに、タダシが眼鏡を直すのは、心を落ち着かせるためのスイッチみたいなものである。

当のがり勉は、『うぅぅ』とうめいて、腹を抑えている。

トラ「どないしたんや?」

出木杉の母「あ、まだ近寄らない方が……」

 出木杉の母の制止も虚しく、トラえもんは安易にがり勉にかけよってしまった。

当然、がり勉は起き上がる。

がり勉「ゲヤヤヤヤヤヤ!」

トラ「ちょwww なんやその笑い声!」

タダシ「笑ってる場合じゃない、葵! 今すぐ、テレポートで逃げて!」

トラ「分かったわ! テレポート!(と言いながら、風呂敷からストレートホールを取り出す)」

出木杉の母「ねえ、やっぱり超能力使えないんでしょう?(汗」

タダシ「だっ……大丈夫ですよ! ウチら、セロより使えますよ! テープよりも!
     自分の名前を使われたからと言って任天堂を訴えた、昭和のラスプーチンと一緒にしないでください!(泣」

出木杉の母「ねえ、まさかそれって……ユリ・ゲ……」

タダシ「ダメです、そんなこと言ったら、1970年代の超能力ブームを否定する事になりかねません!」

出木杉の母「いや、別に大丈夫だと思うけど……って、アレ見て、あの子が……」

タダシ「え、なんですか? トラえもんなら、ストレートホール……じゃなかった、テレボートが使えますから!」

 出木杉の母は、黙ってタダシに現実を直視することを促した。 タダシも、後ろを見る。

 

そこには、がり勉と同じような目をしたトラえもんの変わり果てたキョンシーポーズがあった。

 

トラ「ふふふ……へろへろへろくんん」

タダシ「ああ、なんてこった!(汗 トラえもんまで、あの人形の仲間に!」

出木杉の母「ああ、英才……! あの子なら、きっとなんとかしてくれる!」

タダシ「なんですかその、他力本願は。 悟空の活躍を期待するクリリンですか」

 

 

 その人形は、ブツブツと何かを呟いていた。

 

出木杉「……さっきから、全然動いてないね、お人形さん」

静香「もしかして、何か動けない理由でもあるのかしら?」

 

 人形はかたかたと音を立てながら、首だけを回した。

 

出木杉「うーむ。 身長がもう少し小さければ、充分かわいいんですが」

静香「出木杉さん、変な趣味に目覚めないでよ」

出木杉「だ、大丈夫ですよ! お人形さん、僕は君自信が戦闘向きでないことを、突き止めました」

 

奈々ちゃん「チルドレン、みんなチルドレン」

 

会話を成立させることができない人形を見て、静香は呆れるように言った。

静香「ねえ。 よく見たら、この人形思ったより怖くないかも、近づきさえしなければ。 動物園のライオンと同じね」

出木杉「それじゃあ、そろそろ歌ってほしいんだ、武君」

ジャイ「おい、ただ歌うだけってどういうことだよ。 まぁ、最近歌ってなかったから、いいけどよ」

 そういうと、ジャイアンは家庭用カラオケマイクのスイッチを入れた。

 

その瞬間、出木杉と静香は耳栓をして、家の玄関に飛び込んだ。

 

ジャイ「おーれはジャイアーン、おーとこだぜ〜〜〜♪」

 

そのジャイアンの歌声は、魔界の生物を撃退したほどなので、威力としては申し分なかった。

当然、その人形もフルフルと体を震わせ、『ジャイアンの歌』の一番が終わる頃には――

 

奈々ちゃん「ごめんなさい、ごめんなさい。 ママごめんなさい」

 

そういうと、奈々ちゃんはもう一度ビクンと大きく体をそらせると、それきり動かなくなった。

 

出木杉「終わったのかな?」

静香「ええ。 静かになってるから」

そういうと、玄関の靴箱から身を乗り出した。

静香「やだわ、靴の臭いがついちゃった。 出木杉さん、おふろ借りてもいいかしら?」

出木杉「そ、そんな!(恥 静香ちゃん、まだ具合が悪いんだからそっとしてなきゃダメだよ」

ジャイ「おうい、二人とも」

 ジャイアンは、玄関のドアを開けた。

ジャイ「……ふたりとも、何してるんだ?」

出木杉「く……靴箱に、最近興味を持ってね」

静香「ええ。 最近、出木杉さん靴の博士号(?)取るんですって」

ジャイ「そうか……。 じゃあいいけど」

静香「(バカは丸め込めやすくて助かるわ)」

出木杉「とにかく、今夜はありがとう。 お土産に、そのマイクあげるよ」

静香「そうね。 ほら、風呂敷も返すわ」

ジャイ「おい、何嫌な客を帰すような雰囲気なんだよ」

出木杉&静香「(き、気づかれた!?)」

 ジャイアンは、くいっと親指を出して、庭にあるものを指した。

 

ジャイ「ほら、見ろよ。 みんな眠ってるんだ」

 出木杉はこの時、しまったと思った。 静香は、不覚にも少し笑ってしまった。

 そこには、人形に折り重なるようになって倒れているがり勉にトラえもん、
その後ろの方で出木杉の母ががり勉をかばうような体勢で、倒れていた。

 

出木杉「母さん!」

そういうと、出木杉はすぐにかけより、脈を確かめた。 とくとくと、リズムよく波打っている。

静香「だ、大丈夫?」

出木杉「うん、念のために病院に行ったほうがいいかもしれない。 武君、今すぐ119番を!」

ジャイ「お、おう!」

 ジャイアンは戸惑いながらも、出木杉の家へ入った。

静香「確かに、一大事かもしれないわ。 武さんの歌に、出木杉さんのお母さんは耐性がないから」

出木杉「うん。 でも、それだけじゃないんだ」

 顔に疑問符を浮かべる静香に答えるように、出木杉はがり勉の額を触った。

出木杉「頭に、損傷がある」

静香「ああ、やっぱり先に精神病院に電話しとくべきだったわ(泣」

出木杉「うん、違うよ。 外傷が酷いんだ。 多分、この人形にやられた時に……」

静香「出木杉さん。 トラえもんさんは、どこの病院に見せればいいの?(汗」

 そう言いながら、静香は女装したトラえもんをこづいた。

出木杉「分からないな……」

 

 刹那、黒い影が二人の間に落ちてきた。いや、それは影ではなく、実体だった。
静香はこの時、嫌な予感がした。 その『落ちてきたもの』に、非常に見覚えがあったからだった。

 そして、それがなんなのか理解した。 出木杉は、すぐに気づいた。

それが、かつてこの家を出た(妙な言い方だが)ドラえもんと勝手にかんしゃくを起こして出て行った『野比のび太』だということに。
 なぜか、二人ともボロボロだが(ドラえもんの方は、酷い)。

 

静香「のび太さん!……は後ね。 ドラちゃん、しっかり!」

そういうと静香はのび太の腹を踏み、ドラえもんに駆け寄った。

 出木杉は、すぐに上を見た。 屋根の上に、誰か居る――!?

今夜は、三日月のように小さくて細い月だった。 その光に照らされて、屋根の上に居る人物はゆっくりと喋りだした。

 

『面倒くさいから、聞いたままに伝える。

 今日の11時に、第7台場の埠頭の、R−18エリアの16番倉庫に来い。

 来るのは野比のび太一人。 他の仲間が居ると分かった時点で、牧野は殺す。

 牧野を助けて欲しかったら、必ず一人で来い。

 そこで、審判を下そう。

 後、そろそろ暗号は解けただろうか? 解けたなら、私が誰かわかるはずだ。

 ネコジャラは、こちらの不手際で逃げてしまったので、ヒントを伝える。

 「持つことが出来るが、消えることもある 追うことができるが、離れることもある」

  残りのヒントは、「美作」を倒してから手に入れろ。

  期待せずに待ってるぜ。

   道明寺』

 

そういうと、屋根の上の人物は消えた。

 

 その瞬間、玄関から黒い影が飛び出した。 それは、ジャイアンだった。

ジャイ「ど、道明寺!? おい、なんだよそれ! そいつ出せよ、ぶん殴りにいくから」

 なぜか怒り心頭しているジャイアンを、出木杉は不思議そうに見た。

出木杉「武君、『道明寺』って名前に心当たりがあるのかい?」

ジャイ「さっき仕返しした中学生が言ってたんだよ、『道明寺』って奴らに金もらってやったって!(怒)

    なんで、この俺様を狙ってるのか心当たりはねえが、俺に喧嘩を売るとはいい度胸だぜ」

出木杉「(いや、君ならたくさん心当たりありそうなんだけど……)」

 静香は、すぐに人形を調べた。

出木杉「静香ちゃん、なんか分かった?」

静香「ええ。 この人形が、『美作』ってことを証明するネームプレート」

 そういうと、静香はそれを出木杉に放り投げた。出木杉は慌ててキャッチする。

ジャイ「ようし、そのドン小西って奴はどこに居るんだ?」

出木杉「『道明寺』だよ、武君(泣」

 静香は、またネームプレートと同じようなものが、人形の胸の部分に入っていることに気づいた。

静香「ったく、どこに隠してあるのよ……。 ん?」

 その紙には、こう書かれていた。

 

t=L=

 

 その時だった。

「静香ちゃん」

 そう呼んだのは、起き上がったばかりの青い猫型ロボットだった。

ドラえもん(以下ドラ)「ご、ごめん……。 僕達だけの問題に、君たちを巻き込んじゃって……(泣」

 苦しそうに言葉をつむぐドラえもんに、静香は力強く言った。

静香「何言ってるのよ、ドラちゃん! 私達、仲間じゃない! 仲間? 仲間? 仲間なんてものじゃないわ!
   同志よ! いずれ、みんなでCDデビューしましょう」

出木杉「静香ちゃん、いきなり何言ってるんですか(泣」

 ジャイアンも、思いっきりのび太の頬を叩いた。

ジャイ「おら、起きろよのび太! 寝てる場合じゃねえぞ」

 間もなくして、のび太は辛そうな表情をしながら、起きた。

 

野比のび太(以下のび)「いてて……。 アレ? おっかしいな……? 僕、ノンちゃんと別れて……なんだっけ?」

 

 のび太が無事なのを確認すると、ドラえもんは優しい表情を浮かべた。

 

出木杉「ドラえもん君、そろそろ事情を話してくれないか?」

ジャイ「ドラえもん、道明寺って奴を探すの、手伝ってくれよ!」

静香「ドラちゃん、ノンちゃんって誰?」

 

ドラえもんは、やれやれと首を振った。

 

ドラえもんとのび太は今までの経緯を話し、静香と出木杉は、この家であったことを話した。

ジャイアンは途中でおなかがすいたといったので、ドラえもんはグルメテーブルかけを出そうとしたが、
すぐにポケットが使えないことを思い出した。

 間もなく出木杉の母が目を覚ましたので、夜ご飯をご馳走になることになった。

 

 出木杉英才は、時計を見た。 現在、8時10分。 約束の時間まで、後3時間弱――

ドラ「それで? のび太君はどこでやられたの?」

のび「うん、それがね。もごもご」

 静香は、肉を口にほおばったまま話そうとするのび太を制した。

静香「とりあえず、噛みなさい」

出木杉「そうだよ、もっとゆっくり食べなよ」

出木杉の母「まだまだ、ありますからね」

 そういうと、テーブルの上に肉じゃがを置いた。

出木杉「でも、落ち着いてばかりもいられないよ。 その――ノンちゃんって子を、助けないといけないんでしょ?」

のび「う、うん。 でも、何? ぼく一人? それは……やだなあ」

 弱気ののび太を貶めるように、チルドレンの一人が野次る。

タダシ「おいおい、勘弁してくれよ〜〜。 フォローするこっちの身にもなれよ」

トラ「せやせや、そんなんやから女の子一人守れないんや」

がり勉「みんな……私を守ってくれなかった、グスッ」

 そう言って、がり勉はいじけた。

タダシ「つーかお前、大丈夫か? 頭」

がり勉「失礼な! 君たちよりは大丈夫ですぅ!」

トラ「いや、脳じゃなくて、血ィ出てんぞ、血ィ!」

静香「大丈夫よ、唾つけとけば治るわよ」

のび「そうそう、僕なんかベテランのレベルに達すると、たんこぶなんか2秒で一コマで」

ドラ「一応、薬はつけといたけど……で? 道明寺の正体は分かったの、出木杉君?」

出木杉「暗号がないと、なんとも、ね……」

ドラ「そうだよね。 でも、今僕のポケットは――」

 そう言って、今は開けられない四次元ポケットをなでた。

 

のび「ねえ、その暗号ってさ――」

 

 

 

強風吹きすざぶ、夜の埠頭。

まだ夏の匂いは海からにおうものの、冷たい風は夏の終わりを予感させた。

 倉庫のドアにもたれかかっていた『少年』は、携帯電話の液晶画面を見ていた。
その少年は――恐らく、これから自分の身に起こる自体が分かっていたのかもしれない。

 少年は携帯電話を閉じると、くふふ、うふふ、と笑う。 自然に、笑いがこぼれる。

 

刹那、もう一つの大きな扉が、音を立てた。

『ごぅん! ぐぅん、ぎぎぎ……』

 少年は来たな、という風な顔をすると、すぐにその扉に近づいて――とまった。

 

約束が、違う。

 

 その大きく開いた扉のところにいたのは、少年が待っていた少年では無かった。

そこにいたのは、少年の仲間だった。

 

ドラ「君だったんだね、『道明寺』は」

静香「まさか、あなただったなんて」

出木杉「……本当に、残念です」

ジャイ「ムシャクシャするから、まず殴らせろ!(怒)」

 

少年は、携帯電話を落とした。

 

「仲間を連れて来たどころか……の…のび太が……いな……い……だと?」

 

 

 

キャラクターファイル7 奈々ちゃん

 別に、ナナだけにあわせたわけでは(殴

なぜか、自分のことをメリーちゃんと呼ぶ。 その理由は……?

 

ネタ帳7 『虹のビオレッタ』

 結局、ビオレッタってなんなんですかね。 ジャイ子が描いた漫画です。

詳しくは、→ ttp://www.f7.dion.ne.jp/~moorend/news/2008051901.html (虚構新聞より)

 

 

第9話 作戦会議 〜物語の冒頭へ戻る〜

前回までのあらすじ

 遂に、N4の道明寺が本格的に動き出した!

11時までにのび太一人で埠頭に来なければ、牧野(ノンちゃん)を殺すと言われ、
戦々恐々のドラえもんとのび太。

 静香の煽りもあり、ドラえもんは仲間に助けを求めて……。

 

 

ひょぉっと、風が吹く。

 のび太のレンズには、はっきりと映っていた。

埠頭の一番先に、居る。 いつかどっかで見た、タンクトップの男。 そして、短く刈り込んだ頭。

 確か昔、スネ夫が野球ボールの自慢をしてた時――その時、そのボールが人の頭に当たったんだよな。

その当たった張本人こそ――今、のび太の視界に映っている男だった。

 それで、そいつはボールを返してくれなくて。で、僕が代表としてそいつのアパートに行ったんだっけ。
でも、とても話し合いなんか通じない相手だったし、その時は『トロリン』を使ってたから何とか野球ボールを取り返すことができたけど――

 でもまさか、あいつがN4の一人とはとても思えない。

そう考え、のび太は後ろに居る『絶対愚鈍チルドレン』の意見を聞くことにした。

 その三人は、さっきのかわいらしい服ではなく、なぜか全身黒タイツを着ていた。

野比のび太(以下のび)「あれ? 美少女のコスプレはやめたの? 僕、結構アレ好きだったんだけどな」

タダシ「そんな呑気なこと言ってる場合か! 第一、これはコスプレじゃない」

トラえもん(以下トラ)「せやせや、わい達の気を引き締めるための、正装や」

がり勉「うん、別にそっち路線に走ったわけじゃないからね」

三人のやや普通の回答をきいて、のび太はまたそっと隙間から外を見た。

 実は、のび太とその他三人はコンテナの中から外の様子を伺っていたのだ。

その方が『奇襲しやすい』と、数時間前に出木杉が言ったからだった。

 

数時間前――

 

 まだ、ドラえもん一行が出木杉の家で食事を頂いている頃。

ドラえもんと出木杉の会話に口を挟むように、のび太は言った。

のび「ねえ、その暗号ってさ――これのことじゃない?」

 そういうと、のび太はポケットから紙らしきものを取り出した。

食卓の一同は、それを食い入るように見る。

のび太以外の人「こ、これは――」

 のび太の指の間にはさみこまれていたのは、ドラえもんと出木杉が期待したものではなかった。

千円札。 それは、ドラえもんから離れてノンちゃんと一緒に逃げる途中に、のび太が転んだ拍子に見つけたお金だった。

のび「あ、これじゃないや」

そういうと、今度は左のポケットを漁った。

源静香(以下静香)「のび太さん、何? まさか、目立ちたいだけの理由でこんなことしてるんじゃないわよね?
            あなたの出番、今回もあまり無かったし」

出木杉「まあまあ」

のび「今度は、あったよ」

 そういうと、のび太は例の赤い封筒を取り出した。

センス無し

ヒント無しで分かったら凄い

約分 英語 結合

野比のび太へ

 私達は、N4という集団である。 命名の由来は、君の友達にでも聞いてくれ。

私達は、君に苦しみを与えたい死神です。君は、苦しまなければいけない。

 しかし、急にそんなことを言われても驚くのは当然のことだと思う。

だから、我々はその苦しみを君に与えるべきかどうか、テストしてみたいと思う。

 9月3日のお昼から、9月4日になるまで、君は我々の用意する苦しみに耐えなければいけない。

もし、君がそれに参加しない場合、君は『百苦のスイッチ』を入れることになる。

 前回のように、寝過ごすなんて間抜けなことは抜きに、真面目に苦しんで欲しい。

その苦しみは、『百苦』よりは及ばない。

 君のすべきこと

一、同封されている暗号を解き、この手紙を書いている私の正体を暴いて欲しい。

二、暗号のヒントは、私の同士が持っているので、私の同士も見つけて欲しい。

三、六時を過ぎた時点で、我々は本格的に君を追い込む。
   なるべく、お昼の間に我々を見つけて欲しい。

  もし六時を過ぎた場合、君は大切な人を守りながら行動する方が賢明かもしれない。

健闘を祈る  道明寺 

 

 

その瞬間、ドラえもんは火の中の栗を拾ったような衝撃を受けた。

ドラ「こ、これって――本物のN4からの手紙じゃないか!(汗」

のび「うん。 ノンちゃんの所にもね、同じのが来てたみたい。 どういうわけか知らないけどね。
   ノンちゃんが捕まる前に、僕に預けてくれたんだ」

静香「どういうこと、ドラちゃん? その女の子の所には、『あなたは牧野に選ばれました』っていう奴しか来てないんじゃないの?」

ドラ「いや……。 まさか、ノンちゃんはわざと『自分の所にも同じ手紙が来た』って言わなかったのかも」

のび「わざと? ドラえもんも暗号と手紙を持ってたから、二つはいらないと思ってたのかな」

出木杉「『予知』?」

 そういうと、出木杉はドラえもんの顔を見た。そして、ドラえもんも頷く。

のび「???」

静香「何? まさか、その女の子の叔父さんが『未来を予知することができたから』、
   その子はあえて手紙と暗号を渡さなかったっていうの?

   ドラちゃんのポケットが開かなくなって、暗号と手紙を閲覧することが不可能になる。
   それがわかってたから、『自分の所にも同じモノが来た』と言わなかったっていうの?」

出木杉「まあ、そのことは後でノンちゃんに僕が聞いとこう。 問題は――」

 そういうと、出木杉はのび太を見た。

のび「何? 難しい話の後は、僕の話?」

出木杉「君は、一人でその『道明寺』っていう奴の場所に行く覚悟はあるかい?」

のび「一人でって……」

 そう答えると、のび太はすぐに静香を見た。

まっすぐに、僕を見ている。 多分、僕がどうするか様子を見てるんだろうな。
 もし僕が一人で行くって言ったら、静香ちゃんはきっと、僕がノンちゃんを好きとか思っちゃうんだろうなあ。

ああ、せめて、さらわれたのがジャイ子なら……。 でも、ジャイ子だったら、ジャイアンが先に助けてるか。

静香「のび太さん」

のび「何?」

静香「私とその子、どっちが大事?」

 のび太はその瞬間、昏倒した。もちろん、『静香ちゃんに決まってるじゃないか、マイハニー』と言おうとしたが、言葉が出なかった。

タダシ「おいおい、どうしたんだよのび太!?」

トラ「きっと、女の子二人を天秤にかけてたんだよ、のび太のクセに」

がり勉「完全に、『バクマン。』の中井さんパターンにハマってますね」

 静香は、ふうとため息をついた。

静香「ドラちゃん。 こんな言葉で動揺するなんて、のび太さん一人に人の命を賭けるのは、やっぱり危険だと思うわ」

 ドラえもんは、のび太に「大丈夫?」と声をかけながら起こす。

ドラ「そうだね。 やっぱり、別の方法で行くべきだね……」

出木杉「別の方法?」

 子供たちの邪魔にならないように、出木杉の母は皿を片付ける。

静香はそれを横目で見ながら、「この人はことの重大さが分かってるのか」と思った。

 

ドラ「まず、二手に分かれよう。 道明寺のところに行くグループと、ノンちゃんを助けるグループに」

のび「ノンちゃんを助けるって……。 ノンちゃんが監禁されてる場所もわからないのに?」

ドラ「のび太君、予想通りの反応ありがとう。 僕も、無理だとは思うんだ。
   でも、可能性がある限り、それにかけてみようってことさ」

静香「ちょっと待って。 確証も無いのに、動くの? それって危険じゃ――」

ドラ「アパート。 僕達がはじめに行ったアパートに、もう一度行ってみるんだ。
   もしかしたら、ノンちゃんはそこに居るかもしれない。

   N4は四人だから、道明寺、ネコジャラ、(どこかで見たことのある)人形、そしてもう一人。

   だから僕は、のび太君を最初に監禁した奴が、最後のN4のメンバーだと思うんだ」

 出木杉は深く目をつぶると、また目を開いた。

出木杉「最善の策とはいえないけど、その方がいいかもしれない。 というか、これ以上策を講じている時間が無い。
     埠頭も結構遠いし――それに、奴らの要求どおりにのび太君が一人で来たとしても、ノンちゃんを返す保証は無いしね」

静香「そのアパートが、敵のアジトっていう保証も無いんじゃないの?」

のび「大丈夫! 僕がノンちゃんを助けるから」

 そういうと、静香ちゃんの肩を叩いた。

 

ドラえもんも頷く。

ドラ「道明寺のところへは、僕が行こう」

出木杉「じゃあ僕も」

剛田武(以下ジャイ)「ん? 話し合いは終わったか? なんかあるなら、俺も行くぜ」

タダシ「んじゃあ、ウチらは待機ってことで。 ね、葵?」

トラ「せやせや、あんたらと関わってたら、命がいくつあっても足りひんわ」

がり勉「じゃあ、私も……」

 静香は、グッとタダシの首を掴んだ。

静香「ダメよ。 貴方達は、のび太さんのサポートに回りなさい」

タダシ「さ……サポートってなあ」

トラ「いくら払う? 指揮官」

静香「だから、指揮官じゃないって言ってるでしょ(怒)」

ドラ「僕の報酬じゃあ足りないの?」

トラ「ああ。 まさか、ここまで危険な任務とは思わなかったしな」

静香「あーあー、これだから負け犬は。 いや、負け虎? 後、その他のダメガネにネクラ野郎」

タダシ&トラ&がり勉「……ッ!(怒) 」

 

出木杉「とりあえず、アパートまで行ってみよう(汗」

 

 

 のび太は黙りながら、外の男を見つづけていた。

がり勉「おい、もうターゲット見つけたんだから、捕まえようぜ」

トラ「おいおい、捕まえられるのはこっちだぜ?」

タダシ「だな。 なんせ、今俺達は『キャッツアイ』だからな。 ハーレーダビットソンが無いのが、物足りないがな」

のび「ああ、その黒タイツって、キャッツアイだったのね(泣」

タダシ「ああ。 隠密行動だから、本当は『ハットリ君』にでも化けようと思ったんだけどな」

?「で? 何でハットリ君はやめたんだ?」

 のび太はぎょっとした。

トラ「おい、今誰の声や? 番号1!」

タダシ「2!」

がり勉「3!」

のび「よん!」

 バキバキという音と共に、コンテナの壁が崩れた。 そして、そこから顔を出した男が言う。

大男「ご」

 そして、ボキボキと両手を鳴らした。

のび「な……なんて強さだ!」

トラ「強いってレベルちゃうで、コレ!(泣 コンテナの壁を、重機みたいに壊すなんて……」

 一方、がり勉は落ち着いて距離を取る。

のび「ようし、『オトリチルドレン』、略して『オチ』! オトリになって時間を稼いでてくれ! 僕はその間に、ノンちゃんを探す!」

タダシ「お前、最初からこのつもりだっただろ!(泣」

 大男は両手をやじろべえのように動かすと、へへと笑った。

がり勉「僕が見るに、アレはどう見ても人間の力じゃないな」

トラ「そらそうやろ! そんな当たり前の事言ってる場合か」

 がり勉は、フフフと笑う。

タダシ「どうした? 気でも狂ったか?」

がり勉「僕が何も考えずに、コンテナに隠れたと思ってるんですか?」

 刹那、ぱぱぱぱぱ、ぱん、という音がコンテナ中に響いた。

大男が一瞬、ひるんだ。 のび太は、その瞬間を逃さない。

のび「いちぬけたっ!」

 そういうと、コンテナに開いた穴から飛び出した。

タダシ「よし、にぃぬけた!」

 タダシも、飛び出す。

トラ「テレポートで逃げ……」

がり勉「バカ、早く出ますよ! いつまで『絶対可憐チルドレン』のキャラ引きずってるんですか!?」

そういうと、がり勉はトラえもんを引きずり出すように、外に出――ようとした。

 しかし、大男の執念がそれを許さなかった。 がっちりと、がり勉の足を掴んでいた。

大男「逃がさん!」

がり勉「バカ、はなせ――」

 

 爆発。 コンテナが、一気に火を噴いた。 それこそ、火災レベルの。

『ボガァァァアン……!』

 

 既にコンテナの外に逃れたのび太とタダシは、呆然とその火柱をを見つめた。

タダシ「おい、うそだろおい!? がり勉、こんなの聞いてないぞ! 『喰いタン』の最終回より酷いぞ、展開が!
     やたらとドラマにアクションを盛り込もうとする、日テレの手口か!」

のび「ノンちゃんは、ノンちゃんは……! 」

 

 のび太は構わずに、ノンちゃんを探した。 どこだ、どこだ――?

居た。男がさっき居た場所のそばの、錨の縄の束の側に。
 あっさりと、ノンちゃんは見つかった。 ただし――ノンちゃんは、ぐったりとしていた。

 

 のび太は、すぐに駆け寄る。 錨の縄の側のノンちゃんの顔(モハーヴェ砂漠)に、鉄くずのようなものがたくさんついていた。
ただ、その赤みがかった茶髪は、きれいなままだった。

 

のび「の……ノンちゃん!」

ノンちゃん(以下ノン)「私のことはいいから……! のびちゃんは、早くみんなを……」

のび「やめてよ! お願いだから、僕の前で死ぬのだけは止めてよ!」

ノン「のびちゃん、私、あなたにずっと言えなかったことがあったの」

のび「え?」

「私、本当は……」

 赤みがかかった茶色い髪の女の子は、ぐったりと手を下ろした。

 

のび「ノンちゃん? しっかりしてよノンちゃん! 僕だよ、僕がいるんだよ!?
   一緒に、ルームマラソンするって言ったじゃないか! 僕のコンタクトレンズを選んでくれるって言ったじゃないか!」

   めがねをかけた少年のめがねのそばから、滴が流れ始めた。

 

そして、ざっと音がした。

 

大男「そのガキは、後で俺が頂くとする。 まずは、お前からだ」

 頭を丸めた男の左手に、物騒な物が握られていた。

 その男の声に呼応するように、その少年は叫んだ。

 

のび「ふっざけるなァァァ! ……許さない、僕は絶対に許さないッ……! おい、ナナレンジャーレッド!

    僕は、もう怒ったぞォォォォ!」

 

 

 

この話は続きます。

 


 

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