第四十九章
「AGE OF
EMPIRE」
(ミサイル研究所さん)
コールはこの爆発をすぐに総統官邸に伝えた。
なぜならば全ての事態というものは総統であるヒトラーが握らねばならぬ物と、法律で決まっているからだ。
「こちら、アルティメットシイング第五研究所所長、コールです。」
機械的な声がすぐに指示を出す。
「では、用件をお伝え下さい。」
「アルティメットシイング製造工場及び、収容所が何者かによって爆破。研究員十名が死亡、三十名が重傷、五十人が軽傷です。
アルティメットシイングは幸いにも全て死亡しました。以上。」
うろたえることもなく全てを正確に言いきった。
もう恐れるものなど無い。やったのは奴らと相場が決まっている。
「む、そのまま待っておけ。総統閣下からの直属の命令がおまえに下るそうだ。」
相手はまるで驚いた様子を少しも見せずに相変わらず命令口調でコールに指示を出す。
「了解しました。」
ここで、電話は暫く眠ることとなる。
(くそっ、あいつらなんて対応だ。下手すれば開戦の危機だってあるんだぞ。)
コールは自分の考えをできるだけ考えを漏らさない様にしていると、あの男が口を開いた。
「やばいですね。スイスによる大規模なテロ攻撃にこれが総統閣下の耳に直接入る。開戦間違いなしですね。」
「君は何故そのように平然としていられるのだね。スイスもアルティメットシイングを保有しているかもしれんのだぞ。」
「そのときはそのときじゃあありませんか。それこそ、第二次世界大戦時に実現できなかった欧州統一の引き金になるだけですし。」
「君には負けるよ。」
そのとき電話が再び音を取り戻す。
「総統閣下が直々に話される。粗相のないようにな。閣下、どうぞお話下さい。」
ついにヒトラーとの直々の会話だ。
この戦争好きとの。
「ハイル ヒトラー、閣下私めに新たなご命令を下さると聞いておりますが、どんなご命令でしょうか?」
「君にこれからアルティメットシイング十体と吸血鬼九十人、それに最新式戦車を二十台、その他火器を与えよう。
この小隊を君が指揮してスイスに奇襲をかけるのだ。
なあに心配はないすぐに応援もよこそう。
ついに、我々がもう一度この現世(うつしよ)に蘇ることとなったのだ。さあ、今すぐに支度をして侵攻したまえ。
我らの千年帝国建国に、ジーク ハイル。」
ちっ、こういう事は言っているがつまりは左遷か・・・
「はっ、直々のご命令感謝いたします。ジーク ハイル。」
「それでは君の健闘を祈ろう。」
ブツッ プー プー
電話が切れた。あの戦争屋はついに決めやがった。
だが、逆らうことはできない。奴に逆らえば強制収容所か暗殺されるかのどちらかしかないからな。
「所長、健闘を祈ります。」
聞いていやがったのか・・・。
だが、これでスイスが何をやっているのかも知ることができる。
このときコールは全てを決めたのである。
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